人間は年齢を重ねると、気力や体力などが徐々に衰えていきます。それと同時に内蔵の働きも鈍化していくのです。腸も同じで、高齢になると若いころのように活発な働きをしなくなります。そんな腸を活発化させる方法があります。それが毎日のバランスの取れた「食事」です。ここでは、年を重ねても若々しい腸内環境を保てるような食事の秘訣を詳しく紹介します。
腸を鈍化させる原因は「悪玉菌」
人間の腸の中には色々な菌が存在しています。それは良い働きをする「善玉菌」と悪い働きをする「悪玉菌」です。若いころはこの二つの菌が上手に共存しています。ところが中高年くらいの年齢に差し掛かると、悪玉菌のほうが増えてきて、善玉菌が減ってしまうという現象が起こります。人の腸には約100兆個といわれる腸内細菌がおり、それらの菌は「腸内フローラ」というかたまりになっているのです。腸内フローラが乱れると体の不調が現れるだけではなく、肥満の元にもなるという事も判明しています。
善玉菌は主に食物繊維を分解させながら「酸」を作り出します。この酸のおかげで便秘を防いだり、悪玉菌が増えることを抑え込んだりしているのです。この善玉菌が若いころと同じように働いていれば腸内環境は保たれます。しかし高齢になったり、食事などの栄養バランスが崩れたり、仕事などのストレスや睡眠不足などの様々な原因がたたり、腸内環境が悪化すると悪玉菌が腸内にはびこり、腸をはじめとした体の不調が出てくるのです。それを防ぐためには腸内の悪玉菌を抑制することです。さらに活発な善玉菌を増やしていくことが出来れば、腸内環境が改善に向かいます。その為にはどのような行為をすればよいのでしょう。
善玉菌を増やしたり元気にさせる食事を摂取する!
前述したとおり善玉菌は、食物繊維を分解や発酵しながら活動します。つまり食物繊維は「善玉菌の好物」と考えることが出来ます。日本人は食物繊維の摂取量が少ないというデータもあり、毎日の食事の中に食物繊維を混ぜて意識して食べるようにしたいものです。ちなみに食物繊維には種類が二つあります。一つ目は「水溶性食物繊維」という水に溶ける食物繊維で、もう一つは水に溶けない「不溶性食物繊維」です。
腸内の善玉菌が特に好むのは「水溶性食物繊維」のほうです。水溶性食物繊維が含まれる食物は主に「大麦」や、わかめやこんぶなどの「海藻類」、パパイヤやキウイなどの「果物」などです。それらを多く摂取すると善玉菌を活性化させることが出来ます。ちなみに「不溶性食物繊維」には主に腸内で水分を吸収する役割があります。その為、便秘の解消などに良いとされます。主なものは大豆などの「豆類」や、しいたけなどの「きのこ類」、他にもかぼちゃなどの「野菜類」がそれにあたります。
ここまでは善玉菌を活性化させるための食事を紹介しました。ここからは善玉菌そのものを増やす方法を紹介します。これは善玉菌そのものを食事で摂取するというやり方です。善玉菌が含まれている食物は主に、ヨーグルトやチーズ、納豆や味噌、他にも醤油や日本酒、キムチなどにも含まれています。このような食物を定期的に摂取していけば、善玉菌そのものを増やすことが出来、それと同時に食物繊維を並行して摂取すればなお良いです。
ちなみに善玉菌にはいくつかの種類があります。代表的なものが「ビフィズス菌」や「乳酸菌」です。両者とも腸内で乳酸を作り出し、悪玉菌の増殖を抑えることがあります。他にも「酪酸菌」と呼ばれる、大腸にとって主要なエネルギーとなる菌もあります。こちらも悪玉菌の増殖を抑え、腸の正常な働きを保たせてくれます。乳酸菌やビフィズス菌はヨーグルトなどから、酪酸菌はぬか漬けなどから摂取することが出来ます。
善玉菌や食物繊維を意識した食事をしよう!
毎日の食事の中に、少しずつでよいので善玉菌や食物繊維が含まれる物を食べるように心がけてみましょう。例えば、水溶性食物繊維を取りたい場合には、電子ジャーで炊くお米の中に、大麦を入れるのを習慣づけるなどです。他にも、善玉菌を増やすためのキムチなどを、常に購入する癖をつけることなどもよいでしょう。さらに毎日の朝食の後はデザートとして、ヨーグルトを食べることを習慣としたり、晩酌の際にはつまみにチーズを摂取するなどの工夫も大切です。
それ以外にも、特に朝晩の食事には味噌汁を飲む癖をつけてみます。味噌汁の具は、水溶性食物繊維の「わかめ」などの海藻類をチョイスするとなお良いでしょう。このようにして、毎日の食事を「食物繊維」と「善玉菌」に意識したものにすれば、腸内の善玉菌を増殖させ、なおかつ菌を活性化させることが出来、それが悪玉菌を抑制させて、元気な腸内環境づくりをすることに繋がっていきます。
規則正しい食事と睡眠、運動も大切。
ここまで食生活を改善させて、腸内環境を整える方法を紹介しましたが、他にも大切なことがあります。それは適度な運動をしたり、仕事などでストレスを溜めないようにしたり、規則正しい生活や十分な睡眠を取る事です。正しい食事や運動、睡眠等が一体となると、さらにストレスをためにくい体が作られて、腸がいつまでも元気に活動してくれることでしょう。