人間が生きていくうえで、毎日いろいろな臓器が24時間フル稼働しています。「腸」もその一つであり、生きる上で大切な臓器です。しかし年を重ねると、だんだん腸の調子が若いころに比べて落ちていきます。何故そのようなことが起こるのでしょうか。ここでは腸の働きが落ちる理由と、それを防止するためにはどのようにすればよいかを解説していきます。
大切なのは「腸内環境」。もしもバランスが崩れるとどうなるの?
人間は誰でも年を重ねてゆくと同時に、体も変化していきます。その中でもよくありがちなのが、若い時に比べてお腹の調子が芳しくなくなるという症状があります。例えば便秘がちになりやすいなどということです。若いころからこれといって食生活が変化したわけでもないのに、年齢を重ねただけでそうなることがあります。その理由は、人間は年を重ねていくと腸内細菌の「バランス」が変化していくからなのです。
人間の腸には「善玉菌」や「悪玉菌」などが常に存在しているというのはよく知られています。それぞれが役割を果たしてバランスよく共存しています。ところが年齢を重ねていくと、そのバランスに変化が生じてくるのです。つまり腸に良い影響を与える「善玉菌」の数が減少し、腸に悪い影響を与える「悪玉菌」が増加するといった現象です。実はそれが原因で便秘や肌荒れ、腹痛などを引き起こすと言われています。
また、その他にも仕事のストレスなどを抱えている場合には、腸内細菌のバランスの変化に追い打ちをかけてしまう事もあります。その為、特に中高年になったらストレスを溜めないような生活を心がけるのと同時に、腸内環境を改善させることを意識した食生活等を心がけるようにしたいものです。では、腸内環境を整えるためにはどのような手段があるのでしょうか。
腸内環境を整える方法「シンバイオティクス」とは?
腸内バランスを整えるためには正しい「腸活」を行わなくてはなりません。その方法の一つに「シンバイオティクス」と呼ばれるものがあります。腸内の菌のバランスを整えるためには、主に二つの方法があります。一つ目は、「プレバイオティクス」という方法です。これは、自分の体内に存在する腸内細菌を、活性化させる方法です。それは、食物繊維やオリゴ糖等を摂取したりすることに当たります。二つ目は、「プロバイオティクス」という方法で、菌そのものを摂取するという「直接的」なもので、ビフィズス菌や乳酸菌などを摂取する事を指します。「シンバイオティクス」というのは、この「プレバイオティクス」と「プロバイオティクス」の両方をバランスよく行う事なのです。
「シンバイオティクス」を実現させるためには、バランスの取れた食生活が必要になります。最初は難しく感じられるかもしれませんが、食生活が偏らないようにすることが大事です。その手助けの一つになるのが、第3の食物繊維ともいわれる「レジスタントスターチ」という炭水化物です。炭水化物と聞くと、お米やうどんなどのことであり、食べ過ぎると太ってしまうので、ダイエット中の人にとってはあまり摂取したくないものかもしれません。しかし、レジスタントスターチの特徴として、小腸内では消化されないというメリットがあります。つまり、小腸を飛び越えて大腸まで届くので、炭水化物ながら肥満防止に役立ちます。さらにレジスタントスターチは、善玉菌を増やすという特徴もあるので、腸内バランスを整えることも出来るのです。
このようにメリットの多いレジスタントスターチですが、主にそれが含まれている食物は米や大麦、さつまいもやかぼちゃ、他にも豆類等にも多く含まれていると言われています。このような米やいも類、豆類を食べてレジスタントスターチを体内に取り込むことにより、加齢により減少傾向にある善玉菌をどんどん増やしていくことが出来るのです。
その他の善玉菌を増やす方法。
上記のように、食生活を整えることは腸内環境にとってとても大切です。しかし、それ以外にも大事なことがあります。一つ目は「水分の補給」です。水分を取る事により便秘などを防ぐことが期待できます。食生活のバランスと並行して水分補給も心掛けていきましょう。その他にも、適度な運動もとるようにします。運動不足が心身に良くないことは知られていますが、腸にもやはりよくありません。
体を動かすと腸の血流を良くすることが出来ます。その結果便秘等の解消にも役に立つのです。それ以外であれば、規則正しい生活を心がけるなども大切な行為と言えるでしょう。このように、食生活のバランスと水分補給、適度な運動や規則正しい生活を並行して実行していくようにすれば、加齢により減って行った腸の善玉菌を増やすことが出来るかもしれません。
腸のバランスを整えて快適な生活を
腸のバランスを取るには最初は大変かもしれません。しかし正しい食生活と、運動等をこなす毎日の「習慣」を作ってしまえば、さほど難しくなく出来るかもしれません。腸は生きていくうえで重要な臓器です。これからも長く付き合っていくためには、それと上手に付き合っていく必要があります。その為にも腸を大切にしたいものです。